――200年前
エステリア大陸――――
エステリア大陸に突如現れた“嫉妬の火”は、 絶望にあえぐ一人の騎士を暗黒の王クロノスに変えた。
クロノスはモンスターを従え、
自らを絶望の淵へと追い込んだ世界への復讐を開始する。
緑あふれる大地は焼かれ、空には悲鳴がこだました。
事態を重く見た「ドルロレ」「ティモーレ」「イデア」の3国は
協定を結びクロノス軍へと宣戦布告。
ここに永きにわたる戦いの火蓋が切って落とされた。
エステリア大陸全土を巻き込んだ大戦争、
後の神話に語られる“闇の大戦”の始まりである。
剣と牙は交わり、
幾多の命が散っていった。
街も村も無残に崩壊し、後に残るは瓦礫と屍のみ。
そこに、勝者も、敗者も存在しない。
大戦は終結した。
エステリア大陸に深い深い痛みと爪痕だけを遺して…
戦いの後、生気が失われたエステリア大陸は、
一切の新たなる生命体を誕生させられないまま、
傷を癒すための永き眠りへと落ちていった。
……闇の大戦終結より200年………。
エステリア大陸は、再び胎動を始めた。大地はうねり、山は隆起し、海は裂けた。
大陸はその形を大きく変え、新たな水の流れを生み出し、ようやく動きは静まった。
事の成り行きを見守っていたドルロレの神「マレ」は、
最後に残されていた自身の力を使い、
200年前に辛うじて生き残った生命の光を、ドルロレに放った。
マレ神は大陸が永き眠りより目覚めた時のために、
どんな力でも破壊できない巨大な氷柱に生命の光を封印していたのである。
目覚めた大地の上に生命の光が解き放たれた時、
忌まわしき大戦の終結より停止していた時間が動き出した。
そう、エステリア大陸に新しい歴史が始まった瞬間である。
蘇った人々は再び歩み始める。
ドルロレ、ティモーレ、イデアの3国も少しずつ大戦前の姿を取り戻しはじめた。
3国で平和協定を結び、国家の内政強化と共に再建事業に全ての力を注いだ。
200年という時は流れたが、エステリア大陸のために
命をかけて戦った英雄達の物語は歌となり、伝承された。
人々は彼らの歌を口ずさみながら自分たちの役割に最善を尽くし、
平和を願い続けた。
国民の、そして国王たちの不断の努力により
ついにエステリア大陸に真の平和が訪れたのだった。
花は咲き、鳥は歌い、水は澄み渡る日々……
平和は、永遠に続くように思えた。
しかし、「大陸・国家の復興」という共同の目標が無くなった時、
平和は人の心に怠惰という闇を呼び起こし、
互いに助け合ってきたことさえも忘却の彼方へと追いやり始めた。
やがて、利己主義の時代が到来する。
「自分さえ良ければ良い」という富への過剰な執着は、地位の争いを生み、
また生活の格差は拡大し、賄賂が横行した。
いつの間にか、エステリア大陸は金権主義と傲慢な役人たちによって
内部から腐敗していったのである。
200年前、絶えずに燃えていた“嫉妬の火”に向かって戦った、
『正義』と『義理』という言葉が伝説の中でだけ登場することになった頃、
地下の遥か深いところから“嫉妬の火”が再び静かに燃え始めた。
森中の動物は姿を隠し、モンスターが各地で現れて人々を脅かし、
固く封印されていたはずの地下の扉は内部から開かれ闇がその姿を現した。
それは、200年前の再現のように。
――エステリア大陸は、混沌の時代に戻ってしまうのだろうか?
――“闇の大戦”は繰り返されてしまうのか?
否。
闇に飲まれんとするこの地に、
喪われし言葉を胸に刻んだ冒険者が 今、降り立つ。
その者の名は……
























